甘木駅について
甘木駅は甘木線の起点の駅で、島式ホーム1面2線の構造です。改札を入って階段を数段上り、ホーム先端の側に向かって左手側が1番乗り場、右手側が2番乗り場です。 1番乗り場に相対する線路が1番線、2番乗り場に相対する線路が2番線です。線路有効長は1番線が目算で約70m、2番線が約80mで、1番線の方が10mほど短くなっています。
2022年8月28日改正の現行ダイヤでは、通常使用するのは2番線(2番乗り場)だけで、1番線(1番乗り場)を使用するのは夜間滞泊と平日ダイヤの朝1往復だけとなっています。 夜の上り最終列車とその1本前の列車の計2本が甘木駅で夜間滞泊となります。
構内配線略図
甘木駅の構内配線は次のようになっています。
図はSVG(Scalable Vector Graphics)形式です。クリックすると拡大できます。
オーソドックスな場内信号機、出発信号機の組み合わせで、場内信号機は構成されている進路の番線を「1」「2」の番線表示灯式の進路表示器で示します。 場内信号機には誘導信号機が付属し、すでに車両が停車・留置されている着発線へ列車を入れることが可能なようになっています。 現行ダイヤでは誘導信号機を利用する形での列車の着発はありません。
誘導信号機の現示により入線できる着発線が2つともなのか、どちらか一方だけなのかは信号からは判別できませんが、 停止位置目標の設置と有効長を考えると、2番線に対してのみ誘導信号で入線可能であると推測されます。
2番線の出発信号機の真下には出発反応標識(レピーター)が取り付けられており、出発信号機が進行現示の時に点灯します。 2番線に2編成4両が停車している時に、宮の陣方の運転台着席位置から出発信号機を直接視認できないため、 他の位置から信号機を確認した後に、発車までの間に信号が停止現示に戻らないかを確認できるよう設けられているものと思われます。
甘木駅手前の曲線の存在により場内信号機の見通しが悪いため、遠方信号機が設けられています。
信号機名称一覧
番号 | 名称 | 信号灯器のタイプ | 付属する灯器 | 備考 |
---|---|---|---|---|
1R | 下り出発(1番線) | 2灯式(進行・停止) | ||
2R | 下り出発(2番線) | 2灯式(進行・停止) | ||
3LAB | 上り場内 | 2灯式(進行・停止) | 進路表示器(番線表示灯) | A:1番線、B:2番線 |
3LBZ | 上り誘導 | 1灯式(橙黄) | 誘導進路が1番線側にもあるか(3LAZ)は不明 | |
(3LAB) | 上り遠方 | 2灯式(進行・注意)四角背板 |
構内の様子
写真をクリックすると拡大できます。
甘木駅の駅舎です。1948年(昭和23年)に建築された歴史ある駅舎が現在も使われています。 今年に入ってから駅舎の駅名標が新デザインに変わり、従来の白地に青文字のスタイルから、 紺色の地に会社ロゴ・駅番号を配置し、駅名を白抜きで書くスタイルになりました。
取材日は駅前の国道500号線が渋滞するほどに交通量が極めて多く、車列が途切れた一瞬の隙をついてようやく撮れました。
甘木駅のホーム宮の陣寄りから、車止めの方を向いた写真です。島式ホームの右が1番線・1番乗り場、左が2番線・2番乗り場です。 現行ダイヤでは、夜間滞泊時と平日朝の1往復を除き、列車は2番線にのみ着発します。
車止めに向かって自動列車停止装置(ATS)による終端防護が行われており、甘木駅では写真に写っている15km/hの速度照査地上子が最終段となっています。
ホーム上屋は通常時に列車が停車する2両分だけ設置されていて、ホームの残り1.5両分(19.5m級の車両による計測)には屋根はありません。
車止め付近の写真です。1番線の方がやや短く、2番線が長くなっています。1番線の停止位置目標(写真右外側)に列車を停止させると、乗務員室の扉から見た時にホーム面標示の塗りつぶされた四角がぴったり前に来ます。
四角の脇には「方向幕」との標示もあり、列車折り返し作業にあたって方向幕の設定変更を忘れないよう注意喚起しているものと思われます。
方向幕の変更忘れや設定間違いが発生したのか、視界に入る位置に2つも注意喚起の掲示がありました。 そのうちの1枚目は、具体的に設定されるべき行先表示の候補を出して注意喚起をしていました。
もう1つの注意喚起は設定確認を求める一般的なものでした。しかし、複数掲示するほどの何かがあったのでしょうか。
2番線の停止位置目標の少し先に、「留置 甘」と書かれた停止位置目標があります。おそらく、2番線に2編成分車両を入れる際に、通常の停止位置よりさらに少し奥まで進むよう求めているものと思われます。
2両編成の宮の陣方先頭位置の少し宮の陣寄りの線路間に、「留置 宮」と書かれた停止位置目標がありました。 ここまで列車を入れると、2編成縦列になって車両を停めても、編成の後ろが1番線への出入りを支障せずに済むようです。
甘木駅の2両編成先頭が来る位置から、宮の陣方を見ます。ここから先の点字ブロックがないホーム部分には今は列車は停まりません。
かつて、13.6m級の短く軽量な車両・200形が1948年(昭和23年)から1989年(平成元年)まで長きに渡り使われていた頃は最大4両編成が組まれていたため、 この点字ブロックが無い部分にあと19.5m級1両分程度の車両が停車していたことになります。
甘木駅の出発信号機です。1番線の信号機が線路左側、2番線の信号機が線路向かって右側に建っています。1番線の信号機の手前に黄色に塗られたPC枕木がありますが、 その左横に小さく甘木起点0K100mのキロポスト(丙号距離標)があります。
ここで、写真を拡大して頂くと見えると思いますが、2番線の出発信号機の下方に「二番出発 2R」と札があり、さらにその下に「二番出発」の札と表示灯があります。
その表示灯こそが、配線略図の項で述べた出発反応標識(レピーター)です。現在の運転体制では特段活用されることはありませんが、今でもきちんと出発信号機に連動して点灯・滅灯をしています。
最後に、宮の陣方にある2枚の注意喚起標を見ます。「限定入」と「リミッタ」です。
「限定入」は、甘木駅を出発する前に、各車両中間の扉を締切として、 各車両両端のドアだけが開くようにする「扉限定スイッチ」がきちんとONになっていて、 各車両中間の扉が締切となっているか確認を求める掲示です。 今は2両編成だと区間やワンマン・ツーマンを問わず常時中間扉締切となるため、 運行途上の切り替えは発生しないことになっています。
「リミッタ」は、7000形・7050形だけに装備されている甘木線の運転保安用の「車両速度制限装置」の切換スイッチを確かに入れているか確認するよう求める標示です。 甘木線の最高速度は65km/hで、直線的な区間とカーブが非常にきつい区間が混在し、短区間ながら33‰もの急勾配が古賀茶屋4号踏切の前後(古賀茶屋~学校前間)にあるため、 速度が出過ぎるとまずい所が多々あります。速度超過を防止するために2012年冬頃から順次設置されました。
余談:消えた0キロポスト
甘木駅には甘木線の0キロポストが置かれているはずですが、実はどこにも存在しません。 先に述べた1番線出発信号機付近の甘木起点0K100mのキロポストから車止めの側に向けて100mを測ると、 駅舎のさらに外、駅前の国道500号との境界付近にまで来てしまいます。 0キロポストがあるべき地点には特に何も存在していないので、完全に失われてしまっていることになります。
さらに言えば、甘木線に限らず、天神大牟田線や貝塚線にも0キロポストや路線起点・0K000mの地点は存在しません。 太宰府線には0キロ地点が西鉄二日市駅構内にきちんとありますが、 キロポストがきちんと存在しているかどうかは十分に確認できていません。 数年前の目撃報告では、0キロ地点の枕木に「0K000m」との控え目なプレートはついていたようです。 近日中に確認します。
他の駅の情報
各駅の詳細は下のリンクから参照ください。