金島駅について
金島駅は甘木から8.5km、宮の陣から9.4kmの地点に位置する、甘木線のほぼ中間地点にあたる駅です。甘木から南向きの進路を取ってきた甘木線は、金島駅から西向きに進路を変えます。
駅構造は島式ホーム1面2線、ホームと駅舎の間は構内踏切でつながっています。 ここ金島駅もホームが大変狭いのですが、本郷駅や学校前駅と比較するとわりあい広めで、目測で3mくらいはあります。 しかし、西鉄含む他の鉄道事業者の一般的な島式ホームと比べれば格段に狭いことに変わりはありません。
金島駅のホーム長は19.5m級で2.5両分ほど、着発線有効長は約3両分ほどです。ホームには乗り場番号はありませんが、駅舎から踏切を渡って左手側が1番線(宮の陣方面)、 右手側が2番線(甘木方面)となっています。2番線の宮の陣方には保守用車両の留置に使われる側線があり、現場で取り扱う手動の転轍機が置かれています。
金島駅は列車交換のみが可能な駅で、折り返しのための信号設備は持っていません。その点ではオーソドックスな交換可能駅ですが、 甘木線内の他の交換可能駅が、どこも折り返し用の設備や誘導信号機を持っていたりするため、普通なのに少数派の駅となっています。 (ちなみに、天神大牟田線・太宰府線・甘木線で、列車交換だけが可能な単線区間の駅は、ここ金島駅と太宰府線五条駅だけです。)
構内配線略図
金島駅の構内配線は次のようになっています。
図はSVG(Scalable Vector Graphics)形式です。クリックすると拡大できます。
信号機名称一覧
番号 | 名称 | 信号灯器のタイプ | 付属する灯器 | 備考 |
---|---|---|---|---|
(1R) | 下り遠方 | 2灯式(進行・注意)四角背板 | ||
1R | 下り場内 | 2灯式(進行・停止) | ||
2L | 上り出発 | 2灯式(進行・停止) | ||
3R | 下り出発 | 2灯式(進行・停止) | ||
4L | 上り場内 | 2灯式(進行・停止) | ||
(4L) | 上り遠方 | 2灯式(進行・注意)四角背板 |
信号機の配置は、上り、下りのそれぞれについて、場内信号機とそれに従属する遠方信号機、および出発信号機の計3基が2組の計6基となっています。 上下とも場内信号機の見通しが悪いため、遠方信号機が設置されています。大変シンプルです。
駅の2番線から宮の陣方へ進んだところに保守用車両用の側線があります。
構内の様子
写真をクリックすると拡大できます。
金島駅の入口は細い道となっています。駅舎手前左側の空き地には以前は建物があったようです。現在は更地になり、調べてみると300万円で売りに出されていました。
駅舎からちょっと回る必要がありますが、駅北側には立派な駐輪場やロータリー、一時送迎用の自動車待機スペースが設けられています。 ちなみに、駅のすぐ南側にはファミリーマート、東に少し行くと金島郵便局があるので利便性は高いです。
駅舎を出て最初の小さな曲がり角のところに、昔の西鉄の社紋の形そのままの土地境界標が埋め込まれていました。 道の構造的にここに昔は踏切があったようで、その関係で今とは境界線が異なっていたのかもしれません。
この境界標は、曲がり角の南の方(ファミリーマートの方)から線路に向かって右手側、矢印で指し示した路上にあります。
2番線から側線への転轍機を見ます。ホームから見ると、1番線と2番線の線路が合流する少し手前から右に分かれ、少し本線の側に戻る感じで側線に続きます。
現地で観察できた限りでは、保守用車両用の側線への手動転轍機に、開通状態を知らせる転轍機標識などは特に設置されていませんでした。 ただし、この転轍転換機には電気鎖錠器がついており、転轍機が反位(側線の方向)に向いていると上り場内信号機が停止現示から切り替わらなくなるため、 戻し忘れなどの異常の検知が可能です。また逆に、上り場内信号機が進行現示を出して駅への進入を許可している際には、 電気鎖錠器の機構によりこの手動転轍機は分岐側に転換できなくなり、安全が保たれます。
保守用車両用側線の枕木は正真正銘の枕木(木製)でした。側線終端部の方はとりわけ簡易な整備のように見えます。
上り場内信号機です。2番線にのみ進入できるため、信号機は1基だけとなっています。線路の両側に余裕がある箇所で 信号柱を共用する設備が特にないのに、進行方向右側に信号機を置いているのは少々珍しいです。
ちょうど下り大牟田行普通列車が到着しました。この駅のホームは、甘木方の上り列車停止位置から1両分と、下り宮の陣方面の列車停止位置の先頭扉付近にのみ屋根があります。
上り列車の停止位置付近の屋根からは、金島駅を基準とした運賃表が吊り下げられています。ホームの幅と掲出位置を考えると、乗客のためではなく運転士の確認のためではないかと考えています。 集中管理化される前の甘木線は、終日無人駅か時間帯無人駅の無人時間帯には運転士が集札やICカードの所持確認を行っていました。 ここに運賃表があると、下車客が申し出た乗車駅からの運賃をすぐに調べることができます。
ただ、こうした気の利いた運賃表は他の駅には無く(そもそも本郷駅と学校前駅は屋根すらありません)、運転士も運賃表を携帯していますので、どのくらい活用されたかは分かりません。
金島駅の駅舎内を観察しました。乗客向けの運賃表は、かつての出札窓口の上に掲げられています。
天神大牟田線の宮の陣から福岡(天神)方面への運賃が2段重ねで表示されているのは、甘木線から天神大牟田線への乗り換え駅を宮の陣駅(普通列車・急行列車を想定)で行うか、 宮の陣~久留米間を重複乗車(複乗)して久留米駅で乗り換える(特急列車への乗り換えを想定)かの違いにより、運賃が異なってくることへの対応です。
西鉄では普通乗車券利用時の途中下車制度が生きているため、久留米乗り換えの運賃により乗車すると、久留米駅で途中下車しつつ目的地の駅へ行けます。 ただし、金島駅で普通乗車券を購入する手段は無くなりましたので、乗車駅証明書を取った上で、最初に途中下車したい駅の有人窓口で申し出て、改札補充券の発行を受けることになります。
金島駅の遠隔対応インターホンも簡易式となっています。奥に1人分だけの申し訳程度の木製ベンチがあります。手前には乗車駅証明書発行機が置かれています。
駅事務室の窓には災害発生時の避難場所案内や、駅係員配置時間の案内がありました。
ここは筑後川が近く、水害発生時は浸水する可能性が高いため、避難経路の確認は重要です。川向かいに国土交通省筑後川河川事務所の片ノ瀬出張所があり、 筑後川の片ノ瀬水位観測所もあります。
駅係員配置時間は深夜時間帯の30分(下り列車1本分)だけで、実質的には終電間近の駅点検が主眼になっていると思われます。
改札口にはICカードの簡易改札機ときっぷ・運賃入れの箱があります。昔有人ラッチがあったと思われる撤去跡も見つかりました。
そして駅事務室向かいのボードには、不正乗車に対するかなり強い文言での警告文書が掲示されていました。
不正乗車をする人物は当然ながら客ではないので「客」の単語は全く出現せず、増運賃の徴収(鉄道営業法第18条第2項に定める処置) および警察への通報(鉄道営業法第29条・第30条・第30条の2に定める刑事責任を問うための公訴提起に必要な、鉄道事業者による告訴)を行う旨の通知、 『不正行為の一部始終は監視カメラで録画されており』との強い警告が日本語、ベトナム語、中国語(簡体字)、英語の4か国語で記されています。 この4か国語表記により、甘木線を利用する客の大部分に通用する言語を用いたことになるので「警告が読めなかった」とは言わせないとの強い意思が感じられます。
金島駅のホームもかなり狭いですが、学校前駅と本郷駅を見てから来ると大変広く感じられてしまいます。 両駅だと点字ブロックが1枚しか敷けなかったところ、金島駅では狭い地点でも3枚敷き詰められているので、 少なくともホームの白線標示の間は3倍以上の幅があります。
下り出発信号機です。実にシンプルな構成です。信号灯器は電球式です。天神大牟田線では結構な数の信号機がLED式灯器になっていますが、 甘木線ではまだまだ見当たりません。
ホームスロープから改札口方面を向くと上り出発信号機が建っているのが見えます。2番線からのみ出発可能なため、信号機は1基だけです。 この先で甘木線はかなりきついカーブを曲がります。
他の駅の情報
各駅の詳細は下のリンクから参照ください。